内容紹介
本号のcurrent organ topicsは,胃癌に対して最近話題となっているテーマについて3人の先生から解説いただいた。
まず,胃癌に対して有効性が確認され,近い将来に実地臨床でも使用可能になると思われる免疫チェックポイント阻害剤に関して,愛知県がんセンター中央病院の成田有季哉先生らからご寄稿いただいた。わが国における免疫療法の歴史は古く,特に非特異的免疫賦活剤に関しては胃癌領域で様々な臨床試験が行われてきた。最近発表されたいくつかのメタ解析では術後治療に関して有用性が示唆されているものの,単独の臨床試験では有用性を示すことはできなかった。その後,ワクチンや樹状細胞療法などの特異的免疫療法の研究が進められてきたが,これらの治療法も胃癌に対する有効性は証明されなかった。その時点でいくつかの免疫抑制機構に関する研究も行われていたものの,残念ながら大きなbreakthroughは得られなかった。そこに出現したのが,抗CTLA-4抗体,抗PD-(L)1抗体である。胃癌の領域ではまず抗PD-1抗体による臨床試験が実施され,標準治療に対して抵抗性となった症例でbest supportive careに対する優越性が証明された。奏効症例の治療前選別に関する研究も進められているが,現状では明確なバイオマーカーは確立されていない。一次治療や術後補助療法においても臨床試験が進められており,今後の動向に注目したい。
目次
まず,胃癌に対して有効性が確認され,近い将来に実地臨床でも使用可能になると思われる免疫チェックポイント阻害剤に関して,愛知県がんセンター中央病院の成田有季哉先生らからご寄稿いただいた。わが国における免疫療法の歴史は古く,特に非特異的免疫賦活剤に関しては胃癌領域で様々な臨床試験が行われてきた。最近発表されたいくつかのメタ解析では術後治療に関して有用性が示唆されているものの,単独の臨床試験では有用性を示すことはできなかった。その後,ワクチンや樹状細胞療法などの特異的免疫療法の研究が進められてきたが,これらの治療法も胃癌に対する有効性は証明されなかった。その時点でいくつかの免疫抑制機構に関する研究も行われていたものの,残念ながら大きなbreakthroughは得られなかった。そこに出現したのが,抗CTLA-4抗体,抗PD-(L)1抗体である。胃癌の領域ではまず抗PD-1抗体による臨床試験が実施され,標準治療に対して抵抗性となった症例でbest supportive careに対する優越性が証明された。奏効症例の治療前選別に関する研究も進められているが,現状では明確なバイオマーカーは確立されていない。一次治療や術後補助療法においても臨床試験が進められており,今後の動向に注目したい。