内容紹介
臨床能力の向上は個々の疾患に対する診断・治療の技術を個々バラバラ学ぶことではない。その基本によこたわる体系・構造を理解し身に付ける必要がある。本書ではそれをOSと呼ぶ。著者は亀田総合病院で初期臨床研修を受けたが、当時アメリカ人メンターから学んだOSのすべてを、簡潔に論理的・合理的にまとめた臨床研修のガイドブック。臨床のマニュアル本を読む前に本書を読んでおくことで、マニュアルのHowとWhy難なく理解でき研修医生活が充実すると思われる。
目次
第1章 「診療」とはどういうことか
1 日常診療は1対1の対患者関係の寄せ集めであるcase 1 外来で完結する場合
case 2 長期にわたる場合
2 診療の基本単位(診療基本ユニット)を知る
各科共通の「診療基本ユニット」
臨床は限りなく奥深い
3 全身問診・全身診察を出発点とせよ
問診・診察は診療の基本
基本は全身問診・全身診察
case 3 レビュー・オブ・システムを省いた問診
基本を身につけるには2年かかる
こなし屋さんにはなるな!
case 4 選ばれたのはレビュー・オブ・システムを行う医師
case 5 一般外来と救急外来のアプローチの違い
case 6 どちらが懐が深いのか
第2章 モデルでみる診療基本ユニット9ステップ
section 1step 1 問診(S)
① あらかじめ手に入る情報には問診の前に目をとおしておく
case 7 内服薬から医学的問題点を推定する
②上手なclosed questionsの習得が問診の基本
case 8 話のまとまらない問診の例
③ 身体システムを意識して問診をする
case 9 労作時胸痛を主訴に来院した患者
step 2 診察(O)
case 10 診察を省いたため見逃したむくみの症例
step 3 その時点でわかっている検査結果の確認(O)
step 4 問題点の拾いあげ
step 5 問題点のグループ化とproblem listの作成
step 6 各problemごとの評価(A)
problem No.1 胸痛
problem No.2 発熱
problem No.3 黒色便
problem No.4 貧血
step 7 計画(P)
problem No.1 胸痛
problem No.2 発熱
problem No.3 黒色便
problem No.4 貧血
step 8 診療記録の記載
step 9 計画実行とフォローアップ
section 2 診療態度
case 11 不十分な伝え方の例
case 12 患者から信頼される伝え方
case 13 共感能力欠如の例
section 3 日常診療のチェックリスト
検査オーダーについて
処方について
case14 高カリウム血症を呈した症例
第3章 診療の10カ条
診療の10カ条<その1> 思考実験をしてみる―理屈だけの医療から脱する診療の10カ条<その2> 情報を収集し客観性を高める
診療の10カ条<その3> コントロール(対照)を想定する
診療の10カ条<その4> 原因療法か対症療法のどちらを行っているかを意識する
診療の10カ条<その5> 「除外」という考え方を身につける
診療の10カ条<その6> 一定の手順(頭の先から足の先へ)で問診・診察をする
診療の10カ条<その7> 常にSOAPにのっとって考えよ
診療の10カ条<その8> 鑑別診断の順番をあげるクセをつける
診療の10カ条<その9> 標準的フローチャートを思い描く
診療の10カ条<その10> 最も悪い場合を想定する
■付録
①西洋医学の基本的見方は臓器還元主義である
②客観性を支える3本の柱
■coffee break
アンプル中の薬剤量を知ろう
アメリカから来た指導医
気になる白衣のポケットの中身は?
患者のデータをいつも携帯している指導医
臨床版イメージトレーニング
標本を自分の眼で見ることの意味
おわりに
診療の10カ条