内容紹介
皮膚の異常を訴えて救急外来を訪れる患者はかなり多い。しかし時間外の外来診療に、皮膚科の専門医がきわめて少なく、往々にして救急担当医が対応することになる。本書はその際に役立つよう、皮膚科専門医と救急医のコラボレーションによって著された。心構え、問診、診察法、記載法、頻用処方薬などの総論的解説から、各部位別診察法、さらには熱傷・外傷群にいたるまで、非専門医に理解できるよう丁寧に解説した。特に皮膚所見はすべてカラー写真を多用して一目で分かるよう配慮している。さらに皮膚疾患においてきわめて重要なハイリスク例の見分け方、患者への説明法、所見の記載法などもついても実際例を示してていねいに紹介している。
目次
はじめに
1.本書がめざすもの2.本書の使用法
診療前の心がまえ
1 皮膚の機能を3つに大別しよう2 重症度の評価は救急診療で必須である
3 主訴の背景をとらえる!
4 ER診療でのポイント
1. 患者の持つ特性への配慮
2. 疾患そのものへの対応
3. 疾患のおよぼす影響に関して
1章 主訴(問診表)から何を考えるか
代表的訴えと考えられる対応
1 かゆい2 痛い
3 発疹ができた
4 ケガをした
5 やけどをした
6 蕁麻疹ができた
7 水虫,ヘルペス
2章 診察のしかた
1 医療面接(ていねいな面談はストレス緩和としても有用!)1. いつごろから
2. どの部位に?
3. どのような皮疹か?
4. 自覚症状は?
5. 思い当たるきっかけは?
6. この症状で心配な点,不安な点は?
7. 小児の場合の注意
2 視診,触診,記載(面接で得た情報と統合:皮疹と部位を確定)
1. 色だけの変化:斑
2. 隆起性病変:炎症性,腫瘍性変化
3. 創傷:深さと性状
3章 頻用処方薬を知る
1 外用薬1. 創傷用
2. 炎症用
3. その他
2 抗アレルギー薬
3 消炎鎮痛薬
4 副腎皮質ホルモン(ステロイド)
5 抗生物質
4章 皮膚炎,紅斑群の診療
1 診察,記載1. 皮疹の分布,広がり
2. 皮疹の性状
2 主訴,診察所見から診断名決定(中毒疹と蕁麻疹は共通部分あり)
1. 中毒疹
2. 蕁麻疹
3. 接触皮膚炎
3 ハイリスク例:重症型中毒疹
4 処置,処方(成人例:専門医再受診まで)
1. 中毒疹
2. 蕁麻疹
3. 接触皮膚炎
5 患者説明(専門医への再受診を前提に)
1. 中毒疹の場合
2. 蕁麻疹の場合
3. 接触皮膚炎の場合
5章 熱傷群の診療
1 診察,記載2 診断名決定(「熱傷」だけでなく,必ず受傷部位記載を!)
3 ハイリスク例
4 処置,処方(専門医再受診まで)
1. 処置
2. 検査は一般に不要
3. 処方
4. 説明
6章 頭部顔面外傷群の診療
1 診察,記載2 主訴,診察所見から診断名決定
1. 主訴
2. 視診
3. 注意!
3 ハイリスク例
4 処置,処方(専門医再受診まで)
1. 洗浄,消毒
2. 麻酔
3. 縫合
4. 外用,被覆
5. 処方
5 患者説明(処置前と後の2回説明! 処置についてのインフォームドコンセントも得ること!)
1. 単純な切創
2. 挫創の場合
3. 皮膚欠損の場合
4. 弁状剥脱創の場合
7章 その他外傷群の診療
1 診察,記載2 主訴,診察所見から診断名決定
1. 受傷部位を明記すること
2. 視診
3. 注意!
3 ハイリスク例
4 処置,処方(専門医再受診まで)
1. 消毒,洗浄:必要物品
2. 縫合
3. 外用,被覆
4. 処方
5 患者説明(処置前と後の2回説明! 処置についてのインフォームドコンセントも得ること!)
1. 単純な切創
2. 挫創
3. 皮膚欠損
4. 弁状剥脱創
8章 感染症群の診療
1 診察,記載2 主訴,診察所見から診断名決定
1. 水疱(膿疱)グループ
2. 紅斑グループ
3 ハイリスク例
4 処置,処方(専門医再受診まで)
1. 水疱(膿疱)グループ
2. 紅斑グループ
5 患者説明(不確定なものとして専門医への再受診を前提に)
1. 水疱グループ
2. 紅斑グループ
9章 爪疾患群の診療
1 診察,記載2 主訴,診察所見から診断名決定
3 ハイリスク例
4 処方
1. 痛み対策
2. 感染対策
3. 機能代償
5 患者説明
1. 痛みの処置
2. 感染対策
3. 指先の保護
■重症熱傷チャート
■受傷部位スケッチ
■重症熱傷チャート記入の手引き
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